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弘法水

「名水の湧き出る場所」と聞くと、山や森をイメージするのではないでしょうか。ところが、西条市には海底から湧き出すという珍しい名水があります。西条高校の周囲を囲む西条藩陣屋跡堀から海へと続く本陣川の河口にある「弘法水」です。

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西条藩陣屋跡堀から北へ約1.3㎞、歩いて約22分の場所です。JR伊予西条駅からであれば、せとうちバスの中萩・西条行きで約7分、「地方局入口」で下車。そこから海に向かって7分ほどです。

伊予西条駅に隣接する「鉄道歴史パークin SAIJO」内の西条市観光協会でレンタル自転車(有料)を借りてアクセスするのもおすすめです。市街中心部の名水・親水スポットや名所などをガイドさんと一緒に巡るサイクリングツアー(2日前の正午までに要予約)にも、弘法水に行くコースがあります。

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係留された漁船が並ぶ小さな港、西条港。その一角にある、桟橋のように突き出た場所。その先端部分の屋根がかかった所で弘法水を飲むことができます。「弘法水」と書かれた幟が立てられているので、すぐに見つけられます。海底から湧き出していますが、海水ではなく、真水です。ほんのわずかに塩気や潮の香りがするのではないだろうか…。そんな予想に反し、口当たりまろやかで癖のない味でした。

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弘法水のすぐ側には、地蔵尊が弘法大師として祀られています。ポリタンクやペットボトルを持って来る人達は、弘法大師に手を合わせてから水を汲んでいました。それは「お大師さんのめぐみ」「水のめぐみ」に対する感謝を込めた祈りなのでしょう。

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弘法水と名付けられた水は全国各地に多数あり、その数1400以上だそうです。それらには弘法大師にまつわる様々な伝説があります。ここの弘法水の伝説はこうです。

ある夏の日、四国巡礼をしていた弘法大師が石に腰かけて休んでいると、老婆が水桶に水を汲みたたえて帰ってきました。弘法大師は、その老婆に一杯の水を乞うて渇きをいやしました。その後、老婆が遥か遠方から汲んできた貴重な水だったことを知った弘法大師は、杖で2、3度地面を突きました。すると、水が湧き出してきた、という伝説です。弘法大師は石鎚山で修行したとも伝えられています。西条市では名水と霊峰・石鎚山を通して弘法大師と出会う地でもあります。

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天保13年(1842)に編纂された『西條誌』に弘法水についての記述があります。それは、弘法水が古くから親しまれてきた「ありがたい水」であることを知ることができるものです。地元の人の話によると「弘法水のおかげで、この辺りの人は長寿だ」という都市伝説もあるようです。