嘉母神社1

嘉母神社

石鎚山系を源とする加茂川と中山川の河口に挟まれた地域「禎瑞」。海に向かって開いていく河口の風景が広がるこの地域は、江戸時代の干拓によって生まれた土地です。嘉母神社は、この地区の干拓着手に際して創建された神社。西条の歴史を知る上で訪れるべき名所の一つですが、西条の水のめぐみに触れる旅においてもはずせないスポットです。

嘉母神社2

加茂川の東岸、土手の道沿いにある鳥居をくぐると石段があります。この石段には石鎚神社の昔の鎖が手すりとして取り付けてあります。石鎚神社の鎖を握りながら石段を下り、水路に架かる石橋を渡り、境内へ。「日本一の名水(御神水)」と書かれた案内板が目に留まります。

案内板には、加茂川の伏流水である「うちぬき」が湧き出しており、ここの「うちぬき」は平成8年度に全国利き水大会で「おいしい水」として日本一に輝いた、ということが記されていました。西条のうちぬきを代表して利き水大会に出されたのでしょう。

その「うちぬきの代表」となった水は、手水鉢からあふれています。手や口を洗って身を清め、参拝した後、再び手水鉢から水をいただきます。水のうまみの余韻が口の中に残るような、まろやかな水です。嘉母神社は勇壮華麗な西条祭りのトップを切る神社としても有名です。体育の日の前々日と前日に行われます。

嘉母神社3
 嘉母神社はJR伊予西条駅から約4㎞の所、車で15分ほどです。バス利用なら西条駅前からせとうちバス禎瑞・周桑営業所行きで14分、東禎瑞で下車し、歩くこと約5分。ただしこのバスは1日3便で、日曜・祝日は運休です。伊予小松ICからは約10㎞、車で25分くらいかかります。

嘉母神社4

嘉母神社は天明2年(1782)西条藩の田園地帯として干拓された禎瑞地域の産土神として創建されました。西条市は江戸時代に干拓が盛んに行われ、集落が生まれました。そのなかの代表格と言えるのが禎瑞だそうです。5年の歳月をかけて完成した禎瑞の干拓地は300haにもわたって広がります。

完成後、この地には讃岐(香川)や阿波(徳島)をはじめ岡山などからも移住者が集まってきたと言います。禎瑞という地名は、干拓が完工した年に清らかな水が湧き出し、人々が「天より嘉瑞を降し給う」と喜んだことに由来してつけられたものだそうです。清らかな水が、人間の暮らしにとってどれほど重要であるかを物語る地名だと言えます。

嘉母神社5

余談ではありますが、禎瑞の北端に位置する「難波」地区は「西条のベネチア」と呼ばれています。川に囲まれた土地に家が並び立ち、水面には家並みが映り込み、遠くにしまなみ海道が見えます。この眺めも水のめぐみの一つと言ってよいでしょう。